第3回 HDMF サロン レポート

5月13日(金)、㈱ファシオネさんに会場をご提供頂き、
第3回HDMFサロンを開催しました。
今回は15名の方々にお集まり頂き、楽しい時間を過ごしました。

ファシオネさんのオフィスは最近模様替えを行ったばかりということで、
壁一面の本棚に巨大な開閉式のホワイトボードが取り付られていました!
今回のサロンでは、この壁面ホワイトボードが早速活躍しました。

さて、最初のスピーカーは㈱プレシャの青木さん。
「コロコロ コロルくん」というシロクマのキャラクターを開発し、
ぬいぐるみなどのグッズや絵本の販売など、様々な展開をしています。

「コロコロ コロルくん」オフィシャルウエブサイト

青木さんには、「株式会社プレシャをデザインする~小さな企業を大きくデザインする~」というテーマで、自社のキャラクタービジネスについて様々な視点から
お話しして頂きました。

HDMFsaloon3-9㈱プレシャの青木さん(左)

HDMFsaloon3-10テーブルの上に置かれているのが「コロコロ コロルくん」

「コロルくん」は、競争が激しいキャラクタービジネスの中で、いわゆるご当地キャラや
観光地キャラではなく、全国で通用する正統派キャラを目指しています。

そのためには、高品質で魅力ある「コロルくん」グッズをお客様にお届けして、
ブランド力を高めていくことが大切とのこと。

この活動を下支えするために、「コロルくん」の形状や色をきちんと再現できるように
規格化したり、立体商標の取得による模倣対策の強化などを進めているそうです。

「クマ」は動物キャラクターの中でも人気が高いため、
とりわけ厳しい競争環境の中で独自性を保ち続け、ブランドに繋げていくには
こういったデザイン管理や知財管理は必須の取り組みだと感じました。

HDMFsaloon3-4「キャラクタービジネスのデザイン」検討

青木さんはマーケティングがご専門で、キャラクターグッズの流通体系にも
精通されていますが、企業としてより大きく成長するためには、
さらにデザイン活用の視点が大事だと考えています。

青木さんにとって、HDMFの「山村塾」は、経営や事業を「デザイン」の視点から
考えるための学びの場となっている、とのこと。

最後の方では、サロンらしくちょっとオフレコな話になって皆さん笑っていましたが、
ビジネス戦略を考える上で、実に示唆に富んだ話題でもありました。

 

 


話題の二つ目は、会場をご提供頂いた㈱ファシオネの登さん。
タイトルは「ファシオネ登氏が語る、北海道の製造業、失敗あるある!」です。

ファシオネさんは、工業デザインを得意とするフリーランスのデザイン事務所として、
様々なクライアントと仕事を行ってきていますが、「プロジェクトの成功・失敗を左右
する要因の一つが、プロジェクトを推進する人の考え方や関係性!」だと強調。

登さんには、これまでに経験した2つの大きなプロジェクトに共通の悩みだったという、
「組織」や「人」の問題について赤裸々に語って頂きました。

HDMFsaloon3-8㈱ファシオネの登さん

最初の事例は、とある大型機器のメーカーのデザイン開発を支援し、
それが大きなヒットに繋がり、順調にデザイン活用が進んだ・・・と思ったら、
急ブレーキがかかってしまった話。

その原因は、短期間での社長の頻繁な交代。新しい社長が新製品開発やデザイン活用を
それ程重視しなかったため、せっかく軌道に乗り始めたファシオネさんとの関係は
一旦終了することになってしまいました。

しかしこの企業にとって、今後もデザイン活用が必要なことは間違いありません。
その基本方針を維持できなかった組織に登さんは驚き、そして落胆したのでした。

HDMFsaloon3-11「僕の話は飲みながら聞いてね。」ということで少し飲みながら進行。

もう一つの事例は、北海道内のものづくり企業が数社連携による製品開発プロジェクト。
登さんはこのプロジェクトに当初はデザイナーとして参画したものの、
結果的にはディレクターとして非常に大きな役割を果たすことに。

このプロジェクトは、それぞれの専門領域を持ったものづくり企業間で、
互いにいかにうまく連携するか?が鍵だったのにも関わらず、
実際のところ参画企業の意識は「皆で一つのものをつくる」「他社と協力しあう」
という方向で揃わず、登さんは「人の問題が大きかった」と振り返る。

登さんはデザイン開発支援と同時に、参画企業間の繋ぎ役として動き、
また製品の作り込みでは手も動かしながら、プロジェクトを成功に導きました。

とてもリアルな事例紹介を通じて、登さん流の人のマネジメントの考え方や、
具体的な動き方などに触れることができ、参加者は大きく感じ入っていた様子でした。
最後はいつものように飲みながら楽しく!

19時スタートのサロンでしたが、金曜の夜ということで、最後まで残った皆さん、
気が付けば2時になっていましたね><;

ファシオネさん、遅くまで会場をご提供頂き、誠に感謝いたします。
そして参加者の皆さま、遅くまでお疲れ様でした。